第32回東京反核医師の会総会・記念講演会を開催しました。

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公開日 2020年02月17日

更新日 2020年02月17日

 

第32回総会記念講演会

2月1日、東京反核医師の会は第32回総会・記念講演会を開催し、29人が参加しました。

2019年決算、活動報告、2020年予算、活動計画を確認した他、東友会から代表理事の家島昌志氏が挨拶しました。原爆症認定訴訟の歴史を紹介しました。

その後、元福井地裁裁判長で2014年5月に関西電力大飯原発3、4号機の差し止め判決を出した樋口英明氏を講師に「私が原発を止めた理由」と題して記念講演が行われました。

樋口氏は、①事故が起きた場合の被害の大きさ、②事故が起きる確率、の2つの面から原発の危険性を検証しました。

 

原発は自国に向けられた核兵器

「止める、冷やす、閉じ込める」が原発の安全三原則とされているが、2011年3月の福島第一原発事故では守られませんでした。樋口氏は、最悪の事態を避けられたのは奇跡的な偶然が重なった結果に過ぎないとして、「東日本全域が避難区域となることも予想されていた。原発は‟自国に向けられた核兵器”に他ならない」と述べました。

一般に考えられているよりも原発の設計はずっと脆弱で、たとえば大飯原発の耐震設計基準は405ガル(後に700ガルに上昇)です。これは三井ホーム(5115ガル)や住友林業(3406ガル)よりもはるかに低い数値で、2000年以降に限っても、基準を超える地震は国内で何度も起こっています。

原発の耐震設計基準の元になっているのが「強振動予測」という学問ですが、「観察できない」「実験できない」「資料がない」の三重苦を抱えています。樋口氏は、「膨大な観測データを保有している気象予報ですら時に間違う。原発の耐震設計基準に当てはめるのは無理がある」と指摘しました。

 

原発は「禁忌」の問題

過去の原発訴訟の多くで原発を容認する判決が出されてきた要因として、樋口氏は、「原発が安全かどうかを裁判所が直接判断するのではなく、規制基準が合理的か否かを最新の科学的知見に照らし判断するのが相当である」とした1992年の伊方最高裁判判決を挙げました。最高裁判決が判例として強い影響力を持っているのですが、多くの裁判官は、資料を深く読み込むことなく、形式的なつじつまが合っていて学者が支持してさえいれば「合理的」と判断してしまう傾向があるといいます。「本当にそれでいいのか。理性と良識に基づいて判断すべき問題ではないか」と樋口氏は訴えました。

最後に樋口氏は、「一度でも間違えたら壊滅的な結果を招く原発問題は、医師国家試験でいう『禁忌』の問題である」と述べ、私達にできることとして、①事実を知る②大切な人に事実を伝える③原子力由来の電力を使わない④原発に反対する人に投票する、を挙げました。

 

質疑応答では、東電裁判、1月の伊方原発差し止め仮処分、海外での判例など、様々な観点から活発な質問が出されました。講演後、樋口氏を囲んで懇親会が開催され、活発な交流が行われました。