「黒い雨」訴訟の控訴断念を求める

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公開日 2020年08月04日

更新日 2020年08月04日

 2020年7月29日、広島地裁の高島義行裁判長は、原爆投下直後に市内で降った「黒い雨」を浴び健康被害を受けたのに、被爆者健康手帳などの交付申請が却下されたのは違法であると訴えた原告84人全員について、被爆を認め、県、広島市に対して処分取り消しと被爆手帳の交付を命じる判決を出した。

 これまで国が援護対象の根拠としてきた1945年の広島管区気象台の調査について、調査範囲や収集したデータの限界を指摘し、その後の調査結果等から「黒い雨」は国が認定した特例区域にとどまらず、より広範囲で降ったとした。その上で、原告らの供述や陳述書には不自然不合理な点がなく、いずれも「黒い雨」にさらされたと認めた。
 「黒い雨」による健康被害については、「原爆に由来する放射性微粒子が含まれており、健康被害を生ずる可能性がある」ため、直接雨を浴びた外部被ばくと、「黒い雨」にさらされた水や食物を摂取したことによる内部被ばくの可能性をあげた。
また、特例区域外であっても、「黒い雨」にさらされ、原爆による特定の病気になったことを要件として、原告らが被爆者援護法の対象となることを認定した。

 今回の判決が、特例区域外においても「黒い雨」が降ったこと、また「黒い雨」を浴びた外部被ばく及び内部被ばくによって、原爆の影響による病気になった被爆者として認めた点は、科学的・医学的に妥当であり、評価に値する。

 県と市は国に対して、判決を重く受け止め、控訴しないことを認めてほしいと求めている。訴訟の被告は県と市ではあるが、国からの法定受託事務であるため、実際には国の被爆者援護行政のあり方そのものが問われている。国は控訴断念を認めると同時に、援護対象を極めて狭く制限してきたこれまでの被爆者認定基準を見直し、原爆の被害にあったすべての人の救済を実現するべきである。


2020年8月4日
核兵器廃絶・核戦争阻止 東京医師・歯科医師・医学者の会
(東京反核医師の会)
代表委員 向山 新、 矢野 正明、 片倉 和彦

黒い雨訴訟の控訴断念を求める声明[PDF:72.7KB]

 

原爆ドーム

 

 

 

 

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