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公開日 2021年11月26日
ドイツで12月に発足する見通しの新政権が、2022年3月にオーストリアのウィーンで開かれる核兵器禁止条約の締約国会議にオブザーバー参加する方針を示しました。
ドイツは、アメリカの核の傘のもとにあるNATO=北大西洋条約機構の加盟国であり、NATO加盟国の中で核兵器禁止条約にオブザーバー参加する方針を示したのはノルウェーに続いて2カ国目、G7では初めてとなります。
9月に行われた連邦議会選挙の結果、ドイツの二大政党のうち、中道左派の社会民主党が第1党となりました。第3党で環境政策を前面に掲げる緑の党と、第4党で市場経済を重視する自由民主党との間で、連立政権の発足に向けて交渉を続けてきました
11月24日、3党の代表がベルリンで記者会見を行い、連立交渉が合意に達したことを発表。同日公表された政策合意書で、核兵器禁止条約の初めての締約国会議にオブザーバーとして参加する方針が示されました。これまでのメルケル政権の姿勢から転換することになります。
米国は、軍事同盟である北大西洋条約機構(NATO)加盟の非核保有国のうち、ドイツを含む計5カ国に約100発の非戦略核兵器(B61重力爆弾)を貯蔵しています。NATOの主要国ドイツがオブザーバー参加を決めたことは、「核の傘」に頼っているから核兵器禁止条約にはかかわらない、という建前を崩すきっかけになります。
日本はこの間、「核保有国と非核保有国の橋渡し」を口実に、核兵器禁止条約には否定的な姿勢を示してきましたが、核抑止を認める限り、軍拡競争を止めることはできません。締約国会議へのオブザーバー参加を決められないのであれば、日本の核廃絶に向けた本気度が疑われることになります。
日本政府は早急に、核兵器禁止条約の締約国会議へのオブザーバー参加を表明すべきです。