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公開日 2023年01月10日
当会は12月28日、以下の声明を内閣総理大臣宛てに送付しました。
原発回帰の政府「基本方針案」の撤回を求める
政府は2022年12月22日、「GX(グリーン・トランスフォーメーション)実現に向けた基本方針案」(以下、方針案)をとりまとめた。方針案には、原発の再稼働だけではなく、次世代革新炉の新規開発や建設、60年以上の運転を認めることなどが盛り込まれており、来年に閣議決定する方針だという。
だが、方針案は、政府自身が2021年に閣議決定したエネルギー基本計画の、「可能な限り原発依存度を低減する」との姿勢に真っ向から反する。十分な説明や国会での議論もなく、財界が求めるままに、これまでと真逆の方針を打ち出すのは国民への背信行為であり、政治への信頼を大きく損なうものである。
政府は方針案をまとめた理由として、脱炭素化やエネルギーの安定供給などを挙げており、方針案では「再生可能エネルギーの主力電源化」が掲げられているが、原子力への依存は再生可能エネルギーの発展・普及を阻害するものであり、矛盾している。
地震大国・津波大国である日本で原発を稼働させる危険性、増大し続ける核のゴミへの対処、テロや軍事的な攻撃の標的になることをどう捉えるのかなど、国民の多くが抱く疑問に対し、国はまったく答えていない。驚くべきことに、方針案では2011年3月の福島第一原発事故の具体的な反省点について触れられていない。
福島第一原発事故は決して過去の出来事ではない。事故から11年経過してもなお、収束への道筋は全く立っておらず、住居や生活を奪われた人々への十分な補償も行われていない。津波の可能性が事前に指摘されていたにもかかわらず、国と東電が対策を取らなかったことも明らかになっている。しかし2022年6月17日には、事故に対し国の責任を認めないとする最高裁判決が出されている。このままでは、事故は繰り返され、その度に国は責任を逃れ続けることになる。
政府に求められるのは、福島第一原発事故が引き起こされるに至った、原発政策の歴史への真摯な反省と総括であり、原発推進への回帰ではない。
以上の理由から、我々は政府に方針案をただちに撤回し、脱原発と再生可能エネルギーへの転換に向けて舵を切ることを求める。
2022年12月28日
核兵器廃絶・核戦争阻止 東京医師・歯科医師・医学者の会
(東京反核医師の会)
代表委員 向山 新、 矢野 正明、 片倉 和彦
原発回帰の政府「基本方針案」の撤回を求める[PDF:83.1KB]
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