「安保3文書」の閣議決定に抗議する

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公開日 2023年01月10日

 当会は12月28日、以下の声明を内閣総理大臣宛てに送付しました。

 

 「安保3文書」の閣議決定に抗議する

 12月16日、政府は「安保3文書」の改定案を閣議決定した。「安保3文書」には5年以内に防衛費の対GDP比2%を達成する方針や「敵基地攻撃能力」(反撃能力)の保有が含まれ、戦後の日本政府が取ってきた「専守防衛」の姿勢を崩す、安全保障政策の大きな転換が盛り込まれている。

 今回の防衛費増額が果たされれば、日本は世界第3位の軍事大国となる。緊迫する国際情勢の中でこのような動きが周辺諸国との緊張を一層高めることは必至だ。さらに、「敵基地攻撃能力」(反撃能力)は呼称を変えたところで他国領土を想定した先制攻撃能力の保有に変わりなく、明確な憲法違反であると同時に、他国からの攻撃を誘発しかねず、むしろ危険性を高めるものだ。戦後日本の安全保障政策の大転換を国会での議論すら経ずに推進する一連の動きは民主主義への冒涜であり、決して容認できない。

 

 防衛予算の財源について岸田文雄首相は増税や社会保障費削減、他の目的税からの流用を次々に発案しており、とりわけ、新型コロナ対策予算や復興税からの流用を行うとの方針を示している。新型コロナの流行は第8波に入り、医療逼迫によって重症患者ですら入院ができず、医療従事者も現場で緊迫した状況の中治療を続けている。東日本大震災の被災地はいまだ復興の道半ばであり、人災により未曽有の過酷事故が起きた福島第一原発の周辺地域に至っては復興のめどすらついていない。国民の生命や生活を守るために納められた税金を防衛予算の増額に流用することは決して許されない。

 

 政府は国際情勢の緊張を口実に安全保障の強化を喧伝して国民の不安を煽り、軍拡を進めている。しかし、戦争が防衛や安全保障を口実に拡大することは歴史が証明している。米国に追従し、外交政策を放棄して「有事」にのみ備えることは本末転倒だ。東京反核医師の会は、国民の生活を踏みにじり、戦争に突き進む「安保3文書」の改定に抗議すると共に、憲法9条を軸にした積極的な平和外交に舵を切ることを求める。

 

2022年12月28日

核兵器廃絶・核戦争阻止 東京医師・歯科医師・医学者の会

(東京反核医師の会)

代表委員 向山 新、 矢野 正明、 片倉 和彦

「安保3文書」の閣議決定に抗議する[PDF:87.4KB]

 

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