長崎県保険医協会 「黒い雨」デジタルマップを公開

 2-123

公開日 2023年06月09日

更新日 2023年06月10日

今も残る被爆者認定の不平等

 広島の「黒い雨」訴訟は、政府が広島高裁への上告を断念したことから、原告側の勝訴に終わりました。菅前首相は「84名の原告の皆様と同じような事情にあった方々については、訴訟への参加・不参加にかかわらず、認定し救済できるよう、早急に対応を検討します」と述べ、同年11月末から厚労相、広島県・市、長崎県・市の5者による被爆者認定指針改定に関する協議が行われましたが、改定後の認定指針では、長崎の被爆体験者が対象から外されています。
 放射性降下物があった事実は変わらないにもかかわらず、現在も広島・長崎間で被爆者認定の不平等が続いているのです。

マップで「黒い雨」被害が一目瞭然に

 長崎県・市は2022年7月、国の認定する地域外でも黒い雨等の降下物があったことを示す「長崎の黒い雨等に関する専門家会議」報告書を厚労省に提出しましたが、2023年1月、厚労省は同報告書の内容を否定する見解を示しています。厚労省の見解は、「過去の被ばく体験者訴訟との整合性がない」「被爆地域以外での降雨があったとする 客観的事実がない」とこれまでと同じ主張を繰り返すのみで、報告書の示す事実への反論として成り立っていません。
 長崎県保険医協会では抗議文を送付するとともに、長崎でも降雨があったことを示す客観的な記録としてデジタルマップを発表しました。
 同マップは、米原爆傷害調査委員会(ABCC)が1950年代に実施した調査で「雨」に遭ったと回答があった地点長崎県・市が実施した「原子爆弾被爆未指定地域証言調査」(99年度)の降雨証言と地点、米マンハッタン管区原爆調査団が45年9~10月に県内各地で測定した放射線量と地点の3つのデータが同時に示されています。放射線の検出地点と降雨証言があった地点 が重な っており、長崎原爆の降雨や放射線の影響を視覚的にわかりやすく明瞭に示すものとなっています。
 ぜひデジタルマップを全国に広めて、長崎の被爆体験者の救済に向けて活用していきましょう。

 黒い雨デジタルマップはこちら(長崎県保険医協会公式サイト)

 

 

 黒い雨デジタルマップ