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公開日 2024年10月01日
当会は9月27日、以下の声明を内閣総理大臣および長崎地裁宛に送付しました。
被爆体験者訴訟の地裁判決および国の控訴に抗議し、
すべての被爆体験者の救済を求める
原爆の黒い雨や灰などの放射性降下物の被害を受けながら、国の認める被爆の範囲から外れているために被爆者として認められていない人達がいる。2021年の広島「黒い雨訴訟」高裁判決を受け、2022年4月に被爆者認定指針が見直されたが、長崎の「被爆体験者」は認定対象から外され、広島と長崎で扱いに差が設けられ、分断された状態が続いている。
長崎地裁は9月9日、長崎の「被爆体験者訴訟」の原告44名のうち、爆心地から東側の古賀、矢上、戸石地区の住民15名を被爆者として認め、それ以外の29名は認めないとする判決を言い渡した。本判決は長崎の原告の中に新たな分断を生んだ。
長崎では原爆投下直後、米国のマンハッタン調査団により長崎全域で残留放射線の測定が行われ詳細な調査結果が残っている。また、証言調査でも現状の被爆地域よりも広範囲に黒い雨や灰等の降下物があったことがわかっており、2022年に「長崎の黒い雨等に関する専門家会議」が報告書をまとめている。本判決は長崎の被爆の実相に迫る調査、研究の蓄積を無視した極めて不当なものであり、断固抗議する。
さらに、9月21日、岸田首相は地裁判決に控訴する方針を示し、24日長崎県、市は控訴した。8月9日に岸田首相は被爆体験者との面談で「課題を合理的に解決できるよう、長崎県市を含めて具体的な対応策を調整すること」を武見厚労大臣に指示したばかりであり、控訴は被爆体験者との約束を反故にする行為に他ならない。
原告の平均年齢は85歳を超えており、これ以上決着を先延ばしにするのは、あまりに残酷である。我々は日本政府に控訴を取り下げるとともに、敗訴した原告を含めたすべての被爆体験者を被爆者として救済することを求める。
2024年9月27日
核兵器廃絶・核戦争阻止 東京医師・歯科医師・医学者の会
(東京反核医師の会)
代表委員 向山 新、 矢野 正明、 片倉 和彦
【声明】被爆体験者訴訟の地裁判決および国の控訴に抗議し、すべての被爆体験者の救済を求める[PDF:76KB]
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