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公開日 2025年08月21日
当会は8月14日、以下の声明を内閣総理大臣宛に送付しました。
被爆80周年 核なき世界を実現するための
私たちの決意
2025年8月で、広島と長崎に原子爆弾が投下されてから80年を迎えたが、未だ人類は核兵器を廃絶するには至っていない。1967年に締結されたNPT(核兵器不拡散条約)は、実際には核兵器所有5カ国の核の力による支配体制を生み出した。同条約第6条に規定された、核軍縮に向けた「誠実な交渉」の義務は果たされず、現在では5カ国以外にも核兵器が広がっている。また、核保有国による核実験は、ビキニ環礁をはじめ世界中の多くの地域を放射能で汚染し、住民の生活と健康を回復不能な程に破壊したが、その補償はいまだになされていない。
近年ではアメリカ、ロシア共に小型核兵器を配備するなど「核兵器の近代化」を進めている。ロシアによるウクライナ侵略、イスラエルによるパレスチナでの虐殺においても核による威嚇が行われ、2025年6月にはアメリカとイスラエルがイランの核施設を攻撃するなど、核戦争の脅威はかつてないほどに迫っている。
唯一の戦争被爆国である日本はアメリカの核の傘の下、核廃絶に消極的な姿勢を取り続けている。2025年6月には政府や自衛隊の元高官らが非核三原則の見直しを訴え、7月の参議院議員選挙では核共有や拡大核抑止を推進する政党や候補者が現れ、「核武装がもっとも安上がり」と発言する候補が当選する等、過去の戦争の教訓を否定する危険な動きが続いている。
問題の本質は、「核抑止」の考えそのものにある。核抑止論に立つ限り、核兵器を無くすことも、核の拡散を止めることもできない。
一方で、核兵器の保有、開発、使用、威嚇などを法的に禁じる「核兵器禁止条約」が2017年に採択・成立し、2024年9月24日現在、署名国94カ国、批准国が73カ国に達している。被爆の実相を伝え、核兵器廃絶を訴え続けてきた被爆者たちの果たした役割は非常に大きい。2024年11月には日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)にノーベル平和賞が授与された。核兵器は非人道的な悪の兵器であり、この世から無くすべきものであるという認識が、世界の常識となりつつある。
広島、長崎を最後の戦争被爆地とし、核兵器のない平和で公正な世界を実現するために、私たちは人のいのちと健康を守る医療者として、被爆者に寄り添い、核兵器の危険性と非人道性を訴え、廃絶に向けて取り組んでいくことを決意する。
2025年8月14日
核兵器廃絶・核戦争阻止 東京医師・歯科医師・医学者の会
(東京反核医師の会)
代表委員 向山 新、 矢野 正明、 片倉 和彦
被爆80周年 核なき世界を実現するための私たちの決意[PDF:90.9KB]

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